広沢 安任
ひろさわ・やすとう

（１８３０〜１８９１）

会津藩士。 庄助安孝の二男として生まれ、通称は富次郎。晩年は牧老人と号す。 藩校日新館に学ぶとともに宗川茂に師事し、安政４年（１８５７）江戸の昌平黌に入る。 文久２年、藩主・容保が京都守護職に任じられると、安任は彦根藩（井伊家）の動静を探るため、先に江戸を発して入京した。在京中は公用方として働き、特に二條右大臣家の信任を得て諸卿の間に周旋し、また諸藩の有志と交友を持っって公武の間を周旋する。 鳥羽･伏見の戦いに敗退し、容保が会津に帰った後も、総督府に嘆願するため江戸にとどまっていたが、藩公の無実と戦争の愚かさを訴え単身総督府に乗り込み投獄される（のち英外交官アーネスト・サトーの進言で救出）。 翌年赦され、松平家の再興を掛け陸奥国（斗南藩）への移住を主張。 斗南藩発足時は少参事となって大参事である山川浩を補佐し、施政を展開。旧藩士の救済と原野の開拓にあたった。 廃藩置県後は合県運動を進め、現在の青森県の基礎を作った。 明治政府からの再三の官職の要請を拒否。開墾・牧畜によって生計を立て、政府の許可を得て英国人二人を雇い、酪農を主とする農場・洋式牧場を谷地頭（三沢市）にを開設して成功、わが国の畜産界に大いに貢献した。 ３０余年間に開墾した土地は、實に２，３８３町に及んだという。 子孫は今なお事業を継続。 明治２４年２月２日東京で没す。６２歳。 『鞅掌録』など著書も多い。 墓は青森県三沢市谷地頭にある。 参考 『幕末維新人名事典』新人物往来社 間島勲氏著「会津人名小事典」歴史春秋社『幕末会津藩』所収

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